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WATMASSを用いた
超低ガス放出残留ガス分析計 WATMASS MPH

   イオン源部

   WATMASS MPH 100M

■低輻射/高熱伝導の0.2%BeCu合金製イオン源フランジでフィラメント熱の影響を減らし、10-10Pa台のガス分析を可能にした超低ガス放出RGA
■Ptlr合金グリッド+強力電子ボンバード脱ガス機構の採用により、水素とESDの疑似ピークを従来製品に比して1/1000以下に低減.
■全構成部品を分解し電気炉で脱ガス処理.
■インフィコン社製Transpector MPHを改造
■使用ソフト:最新FabGurad Explorer

主なスペック

測定全圧範囲 10-10Pa~10-2Pa
分圧計の感度

2×10-6A/Pa(FC)
1×10-2A/Pa(EM使用時)

最小検出分圧感度 1×10-12Pa
質量分析範囲 0~100, 200, 300amu
使用圧力範囲 10-10~10-2Pa
グリッド脱ガス最高温度 1000℃
取付フランジ ICF070 (Cuガスケット)
PCコントロール FabGuard Explorer
通信 インサーネット

電子ボンバード1000℃脱ガス時

   DEGAS CONTROLLER

WATMASS MPHとは

 インフィコン社の四重極残留ガス分析計Transpector シリーズは、プロセスガス分析計として業界のトップの実績を誇ってきた先駆的製品であります。同社は、この度次世代機としてさらに進化させたTranspector MPHと称する小型の新機種を発売しまた。本機はプロセスモニター機でありますから、真空装置にプロセスガスを導入して分析する時点で最大能力が発揮できる構成になっております。このため10-6Pa以下の低い圧力の超高真空領域での残留ガス分析を行うとなりますと、センサー自体からのガス放出が無視できなくなり、オリジナルのままでは精度の高いガス分析を行うことは出来なくなります。これは他社の四重極ガス分析計でも同じです。
 WATMASS MPHとは、弊社がインフィコン社の承諾を得て、上記のTranspector MPHを10-6Pa以下10-10Paまでの残留ガス分析が行えるように改良したものです。従って、インフィコン社の先進的ソフトウエアFabGuard Explorerはそのまま活かして、超高・極高真空領域の残留ガス分析も可能にした高精度の残留ガス分析計(RGA)です。

WATMASSの低ガス放出化への徹底したこだわり

  1. 熱陰極イオン源を低輻射/高熱伝導の0.2%BeCu製イオン源フランジに埋め込み、低消費電力化とセンサの低温化を 行うことでガス放出を低減。
  2. グリッドを白金イリジウム合金で製作し、高パワーの電子ボンバード脱ガスを行えるようにし、ESDガス放出を低減。
  3. センサー外筒を低ガス放出材の0.2%BeCu合金で製作。
  4. 全構成部品を分解し、脱ガス真空炉で低ガス化処理。

WATMASS MPHが切り開く新たなアプリケーション

 WATMASSはバルブで封じ切った、排気ポンプ無しの状態で、10-7Pa台の真空が1年間保持できます。これはフィラメント点灯状態でもセンサーからのガス放出が、マス分析のためにイオン化することによって失われるガス量(ポンプ作用)よりも小さくなったことを意味してます。飛躍的に改善した低ガス放出化により、我々は、今まで全く考えられなかった新たなガス分析アプリケーションを可能にしました。
 特に低輻射/高熱伝導の低ガス放出材0.2%BeCu合金で製作したチャンバに、WATMASSを組み合わせて測定系を形成すれば、シンプルなサンプルの加熱機構を実装した様々な新しいガス分析が可能になります。即ち、チャンバやRGAが加熱機構から放射される赤外線を吸収しないので、熱擾乱が起こらず、真のガス分析が行えるのです。また、排気ポンプとチャンバの間にメタルバルブを接続し、排気後にバルブを閉じて完全に封じ切りることにより、極微量ガス分析などが可能になります。

アプリケーション例

(1)高感度TDSガス分析装置
(2)小型チャンバでのTDSガス分析とガス放出速度測定
(3)レア・半導体デバイスの劣化とガス放出特性
(4)封止デバイスの10-17Pa・m3/sレベルリーク試験
(5)光刺激、電子刺激によって発生するガスの分析
(6)封止MEMSのガス分析
(7)超高/極高真空のガス分析と同材料開発の評価試験
(8)お客様のニーズに合わせた新しい設計 

低ガス放出化の原理

 下に示した表は、センサー本体から放出されるガス

放出量をオリフィス法で求めた値です。低ガス放出化の徹底的なこだわりにより、センサー改良後は本体でQ1→Q3の1/10まで減り、フィラメント点灯状態では更にQ2→Q4の1/100まで小さくなります。

 改良前のガス源はセンサー先端のフィラメント部から発生しているので、局部的にガス圧が高い状態であり、この高い状態(Local pressure)の残留ガスを分析するため、得られるスペクトル強度はQ2よりさらに10~100も高くなり、真値の1000倍~10000倍もガスピーク値が高く(表紙下のピーク値)になってしまいます。

 これに対して低ガス放出化改良後のWATMASSセンサーは、フィラメントを点灯してもガス放出量の増大はQ3→Q4と2倍程度であるから、チャンバー内の局所的 ガス分布は起こらず、真のガス分析が可能になります。