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逆マグネトロン型
NEGサポートポンプ Inverted Magnetron Pump & Gauge (IMP&G)

IMP&G head:ICF070 (SUS316)

1.NEGポンプと組み合わせて使用する逆マグネトロン型
  イオンポンプ(単セル)
2.残留アルゴンとメタンを排気するためのポンプ
3.10-10Paまでの冷陰極真空計としても使用可能
4.封じ切ってNEGだけで到達できる真空は10-8 Pa、
  本機を追加することで10-10Pa台まで到達可能
5.極高真空領域でも確実に放電スタート
  (スタートボタン付き)
6.NEGポンプの活性時に動作可能
7.SUS製、BeCu合金製の2種

仕様

形式 IM P&G
電極 円筒陰極(Ta), スパイラル陽極(W)
排気速度 1L/s (Ar), 4L/s (CH4)
適用可能NEGポンプ 50~2000L(H2)/s
真空計測範囲 10-10Pa~10-3Pa
磁界 0.3Tサマコバ磁石(鉄ヨーク)
ネオジ磁石 4kG,ベーキング温度(80℃)
サマコバ磁石 3.8kG, ベーキング温度(280℃)
電子衝撃加熱電力 1000V×100mA
印加電圧 5kV, 100μA
取付フランジ ICF070 (Cuガスケット)
ヘッド重量 2.8kg

     

標準ラックコントローラー

標準ラックコントローラー

放電電流の非直線性をソフトで補正してますので1×10-10Pa~1×10-3Pa間の圧力を高精度で読めます。直読電流値(A)に切り替えも可能です。放電のスタートはActiveスイッチを一瞬押すことで極高真空領域でも確実にスタートします。


特性

極高真空領域でのIMP&Gの排気特性

 

IMP&Gの圧力特性

 

 

逆マグネトロン型NEGサポートポンプ (IMP&G)とは

■逆マグネトロン型NEGサポートポンプIMP&Gは超高・極高真空をNEGポンプで排気するとき、排気されずに残るアルゴン、メタンを排気するためのイオンポンプです。また、1×10-10 Paまでの圧力測定可能な高精度冷陰極型極高真空計としても使えます。

■逆マグネトロン型冷陰極真空計に排気作用を持たせることに成功しました。従来の逆マグネトロン型冷陰極真空計は排気作用が殆ど無く、これまでイオンポンプのポンプセルとして逆マグネトロン型のセルが使用された例はありません。排気作用が無い理由は、陰極を構成している電極の表面が酸化物層なっているためです。弊社では、陰極(Ta)を真空中で一度1000℃以上に加熱することにより、排気作用を持たせることに成功しました。加熱により、電極表面の酸化物を除去し、希ガスのイオンを捕獲作用(陰極構成金属間に叩き埋め込む作用Entrapment)で排気します。

■円筒陰極を加熱活性化する方法は、陰極の中心に、通電加熱可能なスパイラル状に巻いたタングステン線のフィラメントを配置し、このフィラメントから電子を発生させ、電極を電子衝撃することで昇温活性化します。この時だけ円筒陰極をプラス、フィラメントをマイナスの逆向きの電圧を印加します(スイッチで切り換え)。活性化終了後はこのスパイラルフィラメントを逆マグネトロン型冷陰極真空計の陽極にします。→ 特許申請中

 この陰極活性化により、Arに対して約1L/s、CH4に対して4L/sの排気速度が得られようになりました。また、極高真空領域での放電も非常に安定し、従来の冷陰極真空計の動作限界が10-9Pa台で有るのに対して、1桁低い10-10Pa台までの圧力測定が可能になりました。

 

■NEGサポートポンプは単セルで十分です。なぜなら、現代のNEGポンプの立ち上げ排気はターボ分子ポンプ(TMP)で行います。立ち上げ中にチャンバー内に発生するCH4やArは、TMPで排気されてしまいますので、TMPをバルブで切り離しても、NEGポンプ単独でも10-8Pa台の真空は得られます。しかしこれ以下の真空にはなかなか下がりません。これは僅かではありますが、NEGがCH4とArを発生するためです。この僅かなArとCH4を排気する為に、これまではペニング型のイオンポンプ(マルチセル)を併設する必要がありました。しかし、ペニング型のポンプは、10-9Paでの排気速度が数L/s以下に落ちます。そして放電が停止し易いという欠点が有ります。一旦放電が停止してしまうと、再スタートは非常に難しくなります。また放電が不安定であるため、10-9Pa以下の放電電流計測(圧力計測)は殆ど出来ませんでした。

 弊社オリジナルの単セル型ポンプは、10-9Pa以下に於いても排気速度の低下が小さく、低い圧力でも確実にスタート可能であり、放電が安定してますので、極高真空ポンプであると同時に、極高真空計としても使えます。

■IMP&Gの排気速度測定と圧力測定は左下図のような排気装置を用いて行いました。到達真空の7×10-10Paからガスを導入して、Arに対しては1L/s、CH4においては4L/sが得られました。本機は、10-9~10-10Paに至っても排気速度が1/2に落ちる程度で、非常に安定していることが分かります。MVを閉じてBVを開にすると、完全な封じ切り系システム状態となります。この状態での到達真空はP2=7×10-10Paと封じ切る前と殆ど変化が無く、残留ガスの主成分はH2でした。続いてIMP&Gを停止しますと、圧力は2×10-8Paまで上昇し、ガスの主成分はCH4とArになりました。このテストからNEGポンプを補強するイオンポンプは、単セルのMIP&Gで十分対応可能であることが分かりました。